私がデリヘルにいた頃に、二度見するような外見の姫がいました。
いやもう“姫”と言えるのかどうか…という見た目です。

しかしなんと！
その姫はそこのナンバーだったのです…！

私がそのデリで働きはじめて一週間くらいのこと。
待機で友達と電話をしてヒマをつぶしていた時、私が座るソファの後ろを誰かが歩きました。

「あ、他の女の子だな。あいさつしないと…」と思い、電話を一旦切り、振り向くと…
黒髪で黒ずくめの女性が立っていました。
「……！」
一瞬、固まりました。

ナイトワークをする女子は、たいてい髪が明るかったり、黒髪でも巻いていて顔を出していたり、メイクもバッチリです。

しかし、その女の子は黒髪で、かつ前髪も長く顔を隠しているようにも見えました。
そのため、風俗嬢ではなく、事務か何かのために雇っている女の子だと思いました。

しかし、事務の女性だったとしても、スタッフでパイセンであることには違いなかったので、「おはようございます。りりこです。宜しくお願いします」とあいさつをしました。
しかしながら、まるで私の声が聞こえなかったかのように、完全スルー。
そして、待機を出ていきました。

私は不思議に思い、まさかお化けではあるまいとは思っていましたが、一応店長に聞いてみました。
「黒髪で黒ずくめの女性がさっき待機に来たんですが、あれって…」
「ああ、ミナコ？あれ、うちのナンバーワン」
「えええー！！」

あの見た目の彼女がナンバーワンだということはにわかには信じられませんでしたが、他ならぬ店長が言うのだから間違いではありません。

彼女のスペックは…
黒髪ワンレン（ストレートだけどセットしたストレートではない）・スッピン・美女ではく中の下くらいの顔面・ちょっとぽっちゃり・服はダサイ・ネイルなどもなし。

お世辞にもカワイイとはいえないし、風俗嬢やってると言っても誰も信じないのではないかと思います。

しかし、そんな彼女がナンバーワンなのですから、ものすごいテクがあるか、接客術が異様にうまいかのどちらかです。

そのミナコちゃんが体調を崩して３ヶ月ほど休みをとっていた時期がありました。
そんなにたくさん姫を抱えるデリではありませんでしたので、ミナコちゃんの客が私に流れることも多かったです。

その時、ミナコちゃんの人気の理由を客から聞くことができました。

一番大きな要素は、記憶力の良さでした。

確かに最初はその外見に客は驚くのですが、どうしてそんな外見なのに風俗をしているのか興味があり、入ってみるそうです。

会話もプレイもごくごく普通ですが、次回リピしてみると、驚くほどに自分のことを事細かに覚えてくれているそうです。
好きな食べ物のことを話したらそれを用意してくれているし、好きなプレイがあればそれを必ず忘れない。

もちろん、外見のせいでチェンジされることも多かったのですが、一度入ると客を離さない理由は、客のことを記憶していて次回にそれを活かすということだったのです。